この季節の風物詩である蓮を描こうと思って、数年前にもスケッチをした(蓮で有名な)池に早起きをして訪れた私を驚かすことがありました。
数年前にはなかった看板が立っていたのです。なんと「写生禁止」の看板!!
植物園内の通路の狭い温室などで、「椅子使用のスケッチ禁止」などの規制条件の看板に接したことはありましたが、
「ここで絵を描くべからず」という看板に接したのは、十数年あちらこちらでスケッチしてきた私にとっても初めてのことです。
この数年の間にこの池の周りで、絵を描く人たちとカメラマンの人たちなどとの間で、何らかのトラブルがあったことは想像に難くないですが、
このギスギスした看板が立ってしまうまでに発展した事態を招いてしまった事情に失望し、私はすぐにその場を立ち去りました。
(蓮を撮影するアマチュア・カメラマンの数の多さにも辟易してしまいましたし)
おそらく私は、スケッチを目的としては、(蓮の季節ではなくても)二度とあの池を訪れることはないでしょう。
しかしながら、このようなトラブルが起こる可能性はあの池だけではなく、どこで起こってもおかしくないのが現状かもしれません。
これから自然をテーマにした絵描きになろうとする若い人々の、自らの能力を高める機会となるべき場所が、
最低限のマナーを守らない人々によって、徐々に失われていく現実に憂鬱な思いを禁じえません。